<第七話>
「あ、あの……コンラート様?」
「ん?」
声が妙に楽しそうなのはどうしてなんでしょうか?
コンラート様の私室の掃除を始めた途端、後ろから抱きしめられて身動きがとれない。
「この時間は執務中では?」
「あぁ、いいんだ」
「いい?」
なんとか動く首を傾げると、そこに口づけられた。
「ひゃっ!?」
もがくと面白そうに笑う。
「可愛いね」
「かっ、からかわないでください!」
「愛してるよ」
「っ!」
そう囁かれると何も言えない。コンラート様はずるいな。
ため息を吐くとコンラート様の力が緩んだ。
のだけど、いきなり視界が回って気付けば天井が見えた。
「怒ったのか?」
ちらりと視線を横にずらすと穏やかに笑うコンラート様。
「やだ!」
「だめ」
恨めしそうに見上げてもコンラート様はますます嬉しそうになるだけだった。
「はどうしてそう可愛いのかな?」
「知りません!もう降ろしてください!」
「だめだよ。そしたら逃げるだろう?」
「逃げませんよ」
「昨日は逃げた」
「それは!だって…」
「だって?なに?」
ゆっくりと歩を進め、わたしを抱えたままソファに座った。
「?」
「だっ、だって!コンラート様っ」
そのまま唇を塞がれる。
「…こういうことをしようとしたから?」
話そうにも言葉が出ずに魚のようにパクパクするだけで、それをコンラート様は笑って見ていた。
「もっとしたいな。だめかな?」
「そんなこと聞かないでください!」
恥ずかしくて顔を手で覆う。コンラート様の顔が見れない。
「。顔を見せて」
「嫌です!」
「ほら、手をどけて」
「嫌ですったら!」
「そうか。困ったな」
指の隙間から見たコンラート様は困り顔ではなく、ものすごく楽しげで危険だと思った。
「じゃあ好きなだけ抵抗するといい。俺も好きにやるから」
「え?…きゃ!」
上半身を起こされ、手で隠せなかった頬にコンラート様が口づけた。
その唇は頬だけでなく首筋やうなじ、顔を覆った手にまで触れた。
「コンラート様!」
恥ずかしさで涙目のわたしをコンラート様はとても優しい瞳で見つめていた。
「愛してる」
「だから……それはずるい」
「愛してるよ」
「もうっ」
呆れて笑いながら、唇が重なる直前にわたしからコンラート様への愛を囁いた。