ここはどこ?
わたしはだぁれ?
「………………」
ねぇ。
どこなの?ホントに。
あたしはえぇっと…公園で彼氏を待ってて
で、そうそう!噴水に子供がおもちゃを落としたから拾おうとして……?
それから記憶がない。
気が付いたら、ここにいた。
「お風呂…?」
プカーと浴槽に浮かんだあたしは服のまま。
しかも大浴場!
おかしいよね?おかしくないはずない!
夢、か?
「だからいいって言ってるだろ!」
「遠慮するな!この僕がせっかく背中を流してやろうと言ってるんだ!」
人の声がして、振り返ったあたしの目に飛込んできたのは
黒髪の日本人と、やけに日本語の上手な金髪美少年。
二人とも年はあたしと変わらないくらいかな。
え!?ここ混浴??
二人を凝視していたあたしに気付いて日本人が悲鳴をあげた。
「なんだお前は!ユーリを狙う刺客か!?」
美少年が腰の…え!?あれって剣!?
スラリ
剣を構えてこちらを見据える。
「貴様、何者だ?」
美少年が低く呟く。
「待て、ヴォルフ!あんた日本人?」
もう一人が腰に巻いたタオルをきつく結びなおしてあたしに向き直る。
「それ制服だよな?えっと桜華女子学園の」
「そうだけど」
「なんだ刺客じゃないよヴォルフ。剣を下ろせ」
美少年は剣をおさめたけどいぶかし気にこっちを見ている。
「俺は渋谷有利。あんたは?」
「…早瀬」
「こっちはヴォルフラム」
美少年…いやヴォルフラムにお辞儀をするとフンと顔を背けられた。
「ここ、どこ?」
「う〜ん…とりあえず風呂から出ようぜ。それから話すよ」
そういうと二人は出ていき、代わりに一人の女の人が入ってきた。
「こちらにお召しかえください」
渡されたのはヒラヒラのワンピース。
普段から制服以外にスカートをはかないけど借り物だし文句は言えない。
「はぁ…とてもお似合いでございますわ。なんてお美しい」
あたしにはあなたの方が美人さんだと思うんですが。
「それでは陛下がお待ちです。こちらへ」
へ、陛下!?
何?そんな大層な人のお宅にあたしはいるの!?
緊張で逃げ出したくなっているあたしに気付かずに彼女は扉を開けてしまった。
「お、〜入ってこいよ」
渋谷くんが椅子にかけて手を振っている。
なんだかほっとした。
だってここに来る間に見掛けた人は日本人じゃなかったから。
髪や瞳の色が日本人とは違う。
あ、ここにも…しかも皆揃いも揃って美形さん。
「ど、ども」
迫力あるなぁ〜
「あいつが敵ではないという証拠がどこにある!」
ヴォルフラムがテーブルをバン!と叩いて渋谷くんに詰め寄る。
「俺の勘。後は制服。えっと、紹介するな。こっちがギュンター。んでこっちはコンラッド。でグウェンダルな。怖い顔してるけどとって食われたりしねぇから」
「初めまして…早瀬デス」
皆日本に来て長いんだろうな〜
発音完璧だもん。
「で、ここは何の施設なの?英会話教室?どうやって来たのかまったくわからないんだけど」
あたしの問いに渋谷くんはうんうんと頷いている。
「わかるよ。混乱する気持ち。ちゃんと説明するからさ驚くなよ?」
コンラッドさんがあたしに座るように促す。
そしてポンポンと肩を叩いてにっこりと笑顔を向けられた。
なんとなくつられて笑ってみる。
「、ここは地球じゃないんだ」
渋谷くんがゆっくりと話し始めた。
話が終わって、それがハイそうですかって信じられるわけないじゃん!
ここは地球じゃない異世界で魔族の住む国!?
しかもそこの魔王様が渋谷くん!?
目の前の人たちは魔族だって!?
「、混乱するのはよくわかるよ。俺もそうだったから。でも事実なんだ」
「ねぇ、いつ帰れるの!?あたし彼氏と待ち合わせしてて…ああ!捜索願いが出てるかもッ!」
「落ち着いて。調べてはみるけどそれまではここに居てもらわないと。ユーリと同様水を介しているから道はそこだと思うし」
コンラッドさんが慰めてくれる。
「時間の流れは気にしなくていいと思うぜ。俺の場合、こっちに来てても帰ったらほんの数分しか流れてないから」
「どうしてこんなことに…」
「ウルリーケに聞いてみましょう」
「頼むよギュンター」
「ユーリは僕の婚約者だからな!手を出すんじゃないぞ!!
だがお前は見た目がいいから友達になってやろう。ありがたく思え」
「はぁ…ありがとうございます」
「ヴォルフラム!婚約者とかいちいち言うな!」
「なにぃ〜?お前まさか浮気しようとしてるのか!?」
二人が痴話喧嘩を始めだす。
「まったくヴォルフラムにも困ったものです。さま、私はフォンクライスト、どうぞギュンターとお呼びください」
「あ、じゃあ…ギュンター、よろしくお願いします」
「ブッ!し、しづれい!」
なんだか鼻を押さえて出て行ったけどどうしたのかな?
「。こちらがフォンヴォルテール卿グウェンダル、俺の兄。であっちがフォンビーレフェルト卿ヴォルフラム、俺の弟。俺はウェラー・コンラート。呼びにくければコンラッドでどうぞ」
「三兄弟!?に、似てない!!」
思わず叫んだあたしにコンラッドはにっこり笑ってこう言った。
「父親が違うんで」
魔族にもいろいろ複雑な事情があるらしい。
とりあえず、帰れないならいるしかない。
見たところ悪い人たちじゃないようだし。
こんな体験、したくてもできないんだから楽しまなきゃ損ってもんよね!
前向き、が取り柄のあたし。
眞魔国ライフをエンジョイさせていただきます!
〜〜fin〜〜