流れるような黒い髪も漆黒の瞳も、魔族からすれば最上の美の証。
けれど俺があなたに囚われたのは見た目じゃない。
もっと深い魂からの光――――……
「コンラッドはさ」
俺の膝の上で呆れた顔をしているのはこの世で愛してやまない人。
「セクハラばっかじゃん?いや実際そうなんだけどね」
「愛情表現と言ってくださいよ」
「いいえ!立派なセクハラです!」
少し怒ったようなその顔も愛しい。
「えー…とね」
今度は少しうつ向いて言葉を濁す。
恥ずかしい時のの仕草でかなり可愛い。
「そのー、コンラッドは、さ?」
「はい」
「セクハラばっかだけどさ」
「……はい」
愛情表現と繰り返したいが先に進まないので止めておこう。
「無理矢理に……はしない…でしょ?」
「…していいんですか?」
俺の台詞にすごい早さで頭を振る。
なんだ。少し残念。
「我慢したりしてないの?」
「そりゃあまあ。俺も男ですから愛する女性がこんな風に膝に乗っていれば辛いこともありますよ」
あ、真っ赤になった。……すごく可愛い。
「でもしないよね。そりゃいつもより暴走してるなーってこともあるけど」
「よくありますね」
「認めちゃったよ…」
「つまり何を言いたいんですか?」
はまたうつ向いて少し唇を噛んだ。そして決心したように俺を見つめた。
「コンラッド!あたしのこと嫌いになったりしてないの?」
また突拍子もないことを。
大体の考えは読めたから可愛く思ってしまうけどは本気だろうし、と緩む口許を引き締めた。
「が俺との進展を拒むから俺がを嫌いになると?」
コクリ と頷くと黒髪が一筋鎖骨側に流れる。白い肌に黒い髪が浮かび上がる。
そこに思わず口付けた。の体に力が入る。
「どうやれば俺があなたを嫌いになれるんでしょうね。いや知りたくはないですけど」
こんなにも俺の心はあなたに奪われているのに。
「我慢していることもあります。でもが俺を受け入れる準備もないのに無理矢理に進めるのは俺のひとりよがりだし虚しいだけですよ」
が目を伏せた。
「それに俺こそ怖いんです。あなたに嫌われることが」
「あたしが?……有り得ないよ…」
の柔らかな頬に指を滑らせる。何度も何度も撫でる。
「が悲しむこと、辛いこと、苦しいこと、そんなものは味合わせたくないんです。そう思っている俺が無理矢理あなたを手に入れようとするはずがない。俺はまだ今のままで満足しているんですよ」
の傷付く顔は見たくないから。
この手で守りたいんだ。
「辛い?その……できなくて…///」
「気にすることありませんよ」
本音はイエス。
を組み敷く夢を何度見たか。
この腕に壊れるくらい抱いてしまいたい。
「幸せなんですよ。あなたとこうしているだけでもね」
「コンラッド…」
俺の醜い欲望はまだ隠しておこう。
大事な姫だから見せないんだよ?
「もうちょっと、待ってくれる?」
「ええ」
嬉しそうに微笑むから愛しさが溢れ出す。
そのままの君でいて。
そのままの君が好きなんだ。
好きすぎて手が出せないなんて笑われるかな?
俺はちっともおかしいと思わないけれど。
「でも出来れば早めにお願いしますね?」
〜〜fin〜〜