ムカムカして吐きそう………!!!
いや体調が悪いとかじゃなくてね。
原因はわかってます。
アレです。あの女ったらし閣下。
あなたです!
嫉妬
「どうも陛下。コンラッドならあっちよ」
中庭でティータイム中のは不機嫌の固まり。
の示した方にはコンラッドと一人の美女。
親しげに話すところをみると知り合いなのだろうか。
「ここ座ってもいいか?」
「どうぞ」
そっけなく返しながらも俺にお茶をいれてくれた。
テーブルにはの分と中身が半分ほど残ったカップがひとつ。
きっとコンラッドと二人でティータイムと洒落こんでたんだな。
「コンラッドに急用?」
「いや書類と睨めっこも疲れたからキャッチボールに付き合ってもらおうかと思って」
「…ならしばらくお待ちを。陛下」
チラリとコンラッドの方に目をやっておどけたように言った。
「陛下って言うな」
「はいはい」
くすりと笑うところを見ると先程よりは機嫌もマシになったか。
「なぁ」
「ん?」
「機嫌悪いのってあの二人が原因?」
あーーー…
しまった。言わなきゃよかったかも。
は顔を赤らめてふるふると震えて叫んだ。
「ばっかじゃないの!!!!!」
の大声にコンラッドと美女がこちらを振り返る。
俺はコンラッドに気にするなと口を動かした。
コンラッドが右手を上げて応えたのをみると俺の唇の動きを読み取ったんだろう。
「どうどう、落ち着けって」
「落ち着いてるしッ。でもどうどうってなによ!」
「そうか〜コンラッドをねぇ。俺はオススメするよ」
「だから違うって……!」
「違わないだろ?じゃあなんでそんな顔してんだよ」
はぐぅ、と言葉を飲み込んだ。
「好きなら好きでいいじゃないか」
「…そういう訳にもいかないのよ」
女ってすごい。
いつものからは想像出来ないくらい女っぽい顔してる。
コンラッドを盗み見るとあいつもこっちを見ていたらしい、目が合ってしまった。
だが美女につつかれて目線を外す。
それになんだか無性に腹が立った。
にこんな顔させてるコンラッドに。
「コンラッドのこと諦めんのか?」
「…諦めるもなにも」
「なにが引っかかってんだよ」
つい強い口調で責めてしまった。
「だって…あたしには彼氏がいるし、地球人だし…」
「だああああ!!」
今度は魔王陛下の雄叫びにコンラッドがこちらへ向かってきた。
後ろからは美女も連いて来る。
「どうしたんですか?二人共。大声なんか出して」
は顔を見られないようにうつむいたまま。
「?」
コンラッドは怪訝そうにの肩に手を乗せた。
その肩が俺から見てもわかるくらいビクッと震えた。
「?」
再度名を呼び顔を覗きこもうと屈んだコンラッドから逃れるようには立ち上がる。
「有利!キャッチボールしよ!」
「あ、ああ」
あからさまに避けて逃げたを呆然と見送るコンラッドにさっきの怒りが沸々とわいてきた。
「コンラッド」
「はい?」
「…なんでもね―!自分で考えろ!」
今度は意味不明なことを口走る魔王陛下が走り去るのをまた呆然と見送った。
有利の言ってること、ちゃんとわかってるよ。
でもね、不安なんだよ。
自分の気持ちを伝える勇気はないのに、嫉妬なんかして……
コンラッドはなにも悪くないのに。
誰と付き合おうがあたしには関係ないんだから。
でもさ
「コンラッドって無駄にフェミニストだと思わない!?」
中庭から有利の部屋に逃げてきて少しは反省もしたよ?
でもコンラッドのあのタラシ振りはどうよ!
あたしなんてキスされたんだからね!?
これは誰も知らないんだけどさ。
「あ―――まぁね…」
有利も遠い目をしてる。
いろいろ思い当たることがあるんだろう。
「あっちは100歳越えてて人生経験豊富。こっちはたかだか16の小娘だよ?
しかもあんなに見た目がよろしけりゃぐらつくのも仕方なくない!?」
「否定はしない」
「ありがと」
コンコンコン
ノックでコンラッドだとわかる。
「失礼します。陛下、あぁもいたんですね。よかった」
ゆっくりと歩いてくるコンラッドに体がこわばる。
普通にしなきゃ。
いつも通り。
「二人共なにかありましたか?」
「「べつに」」
うまい具合いにはもった。
コンラッドには不満だったらしく眉間に皺が寄った。
「ごめん、部屋に戻るね」
コンラッドの脇をすばやく走り抜けて有利の部屋から逃げた。
後ろから突き刺さる視線が痛かった。
「はぁ……」
夕食を済ませ部屋に戻れば溜め息ばかり。
有利や三兄弟、ギュンターと囲む楽しいはずの夕食も今日はお通夜のように静かだった。
どうしたいんだろう?
どうすればいいんだろう?
コンラッドが、好き。
もう自分の気持ちは自覚してる。
ただそこから動くか動かないか。
コンコンコン
「。今いいですか?」
あぁ、一番好きだけど今一番会いたくない人。
「入りますよ」
返事を迷っているとコンラッドは中に入ってきた。
「……なにしてるんです?」
「えっと……あはは…」
地震の訓練のようにテーブルの下に潜り込んでいたあたしに手を差しのべる。
「どうしたの?」
向かい合って座り内心はビクビクしながら平静を装ってみる。
「今日はすみませんでした。せっかくのお茶会を途中で終わらせてしまって」
申し訳なさそうに謝るコンラッドになんだか悔しくなる。
「いいよ。あの人と話してる方が楽しそうだったし」
コンラッドの眉が潜められる。
「姫…それは」
「いいのいいの。あたしの暇潰しに付き合わせたんだもん。ごめんなさい。今度から気を付ける」
「…どういうことですか?」
「コンラッドを誘うのは控えますってことよ」
今のあたしの心が見れるなら、きっとぐちゃぐちゃだ。
「俺は迷惑だと感じたことなどありませんよ」
「ありがとう。でももういいから」
だからあの人と一緒にいたらいい。
もう構ってくれなくていいから。
「さ、この話は終わり!もう寝るから出てって」
「いやです」
コンラッドの厳しい声に初めて彼の顔をちゃんと見た。
「不満はちゃんと言ってもらわないとわからないですよ」
「不満じゃないよ…もう子守りから解放するって言ってるの」
「子守りだなんて誰が言いました?」
「言ってないけど…」
どうしてそんな風に言うの?
どうしてほっといてくれないの?
双黒だから?
眞魔国では一人ぼっちで可愛そうだから?
「同情なんかやめてよ!」
「同情!?」
ガタン!
椅子の倒れる音がしてコンラッドが立ち上がった。
「一体なんだって言うんだ!」
コンラッドが声を荒げた。
コンラッドが
「コンラッドが…怒ったぁ〜……うぅ〜」
もう自分でもなにがなんだかわからない。
「コ…コン…コンラッドがっ……」
ポロポロと涙が溢れる。
コンラッドといえば口がポカンと開いたまま呆然としている。
あたしは泣きじゃくった。
小さな子供のようにしゃくりあげながら、コンラッドがコンラッドがって繰り返しながら。
「ど…して…ヒック…怒るの…ぉ…コンラッド…が…彼女と会える時間…を…ヒック…つくってほしかった…だけなのに」
「彼女?」
「コンラッドが優しいとあたし…あたしが…困るんだから」
「?」
「もう…忘れるんだからぁ…」
コンラッドの瞳が見開かれる。
「…それって自惚れていいのかな?」
「ふぇ?」
「君の気持ち、君の俺に対する気持ちは他の誰かとは違う特別なものだって」
さっきの怖いコンラッドとは違う優しい口調に安堵する。
そうして頭の中がはっきりしてきた。
あたし、なにを言った?
「。顔、赤いですよ。本当に自惚れますよ?」
「!!…コンラッド?」
コンラッドの腕に抱きしめられて耳元で囁かれる。
「いいんですよね?あなたの気持ちを頂いても」
「なに言って…」
「さっきの彼女は友人です。まだ俺が軍にいた頃からの。本当にそれだけです」
「え…?ホント?」
「あなたに嘘をついてどうするんです」
クスクスと耳元で笑われると息がかかってくすぐったいんですけど―――
「あなたに避けられてると思って余裕がなくて…怒鳴ってしまってすいませんでした」
「ううん…」
ぎゅうっと抱きしめる力が強くなった。
「」
ちゅっ と頬に唇の感触。
「が陛下と二人きりでいたのも…俺としては好ましくなくて…」
「自惚レマスヨ?」
スッと体が離れるけど両腕はコンラッドに掴まれて、顔は固定されていないのに瞳が反らせない。
コンラッドが覗きこむように少しだけ身を屈めて
「自惚れてくれ」
と虜にならない者はいないだろうってくらいの微笑をみせた。
「が好きだよ」
思考回路ショート中。
「愛しています。この世の何よりも」
なにも…答えられない。
「あなただけが俺の全てです」
コンラッドの形の良い唇が言葉をつむぐのをただ眺めて。
「あなた以外は欲しくないんです。責任とってもらえますか?」
顔に血が上るのがわかった。
「?」
コンラッドが返事を促す。
でも言葉が出てこなくって
「わかりました。じゃああなたが返事を返すまで俺の気持ちを伝えましょうか」
にっこりと笑うと
「愛しています」
「………………」
「初めて出会った瞬間からあなたを愛しています」
「………………」
「愛してると何度言っても足りないくらい愛してます」
「…………っ!」
「愛してるよ」
「〜〜〜〜っ!」
「愛してる」
「も…いいから!」
そうですか?って首を傾げないで!
後半はただ恥ずかしくて言葉が出なかったよ。
「で?は?」
「…意地悪…」
「ん?」
「好き…だよ」
「何を?」
「〜〜コンラッドが好き!他の人に嫉妬しちゃうくらい好きなの!」
きゃ―――!!!
言っちゃったぁ!!!
「嬉しいよ」
爽やかに微笑んでまた抱き寄せられた。
「今から恋人同士ですね」
「うん…」
不安とか問題とか解決したわけじゃないけど、コンラッドの温もりを手放すことはもうできないから。
だから今は自分の気持ちに正直にいよう。
「こら、コンコン」
「はい?」
「手!!手が服の中に入ってる!」
「あれ?そうですか?どおりで触り心地がいいなと」
「馬鹿―――!!!」
「馬鹿だなんてひどいな。でも照れ屋なところも可愛くて好きですよ」
「〜〜〜////」
〜〜fin〜〜