何をするわけでもなく二人でいる。
些細なことに笑いあってじゃれ合う。そんな当たり前のことが漸く出来るようになった。
いつもなら嫌だと思うコンラッドの過剰なスキンシップも戻った翌日だからか気にならない。

そりゃ、人前はやっぱり嫌だから照れ隠しに殴っちゃったけどさ。









「ねぇコンラッド」
「はい?」
「・・・・何でもない・・」


「・・・
「ん〜?」
「いえ。ただ名前を呼びたくなったんです」
「・・・うん」


ずっとこんなことの繰り返しで多分第三者が聞いていたら苛々しそうだ。
でもあたしたちにはこんな時間がまだ少しは必要なんだ。互いの存在を確かめるために。


コンラッドの座る上に横抱きにされて、ぽつりと思い出したかのように名前を呼んで、キスして抱きしめ合って、ここにいるんだと、ここがこの腕の中こそがあたしの場所だと確信する。
本当はまだ地球で自分のベッドの中なんじゃないだろうか。都合の良い夢は何度も見てきたから。
そう思う度、まるで読んだかのようにコンラッドの腕の力が強くなって、夢では感じられなかった安心感をくれた。


「今日ね、コンラッドが仕事休んでくれて嬉しかった」
「あなたより大事なものなんかありませんから」
「・・・馬鹿。照れる。・・・・嬉しいけどさ」

コンラッドが笑う。
あたしも笑う。
なんてことない、けれどあなたといれる幸せ。


「本当ですよ。より大事なものなんか俺にはないから」

額にキスをくれるコンラッドにめいっぱい微笑んでみせる。

「だから明日も休みます」
「え!?」

何を言うかこの人は。呆気にとられたあたしを面白そうに見て、こう続けた。

「だってまだ補充できてませんから。こんな俺が仕事に行っても使い物になりませんよ」
「え?でも、だって・・・そう!ユーリは!?」

魔王陛下の護衛がそう何日も遊んでられないでしょ。

「大丈夫、ユーリなら何とかなります」
「何とかって、」
「明日は一日お勉強。ギュンターにグウェンダル、お目付け役にヴォルフラム。窓の外にはヨザック」

ね、と朗らかに笑うコンラッドがなんだか恐ろしく思えた。魔王はやっぱりこいつだ。

「それともは俺とはいたくありませんか?」
「うっ・・・!」

寂しそうな目でこっちを見られても・・・

「そうなんですか?」

見られても・・・


「俺はあなたといたい」
「う・・・うん・・・」


負けました。
いつもの手ですが、久しぶりだとなお勝てない。
ユーリごめんね。あたしもまだ足りないから明日は助けられそうにないわ。



〜〜fin〜〜