「いやあああッ―!!!!」
静まりかえった百足内に女性の叫び声が響いた。
深夜にあたる時間。
眠りについていた躯は飛び起きて声の主の元へと向かう。
「飛影!!」
目的の部屋の前にはラフな格好の飛影。
こちらも今駆け付けたようだ。
「おい!!?」
乱暴に扉を開けて中に飛び込むとベッドの上で震えているがいた。
「どうしたんだ?」
飛影とそばに近寄りながらまわりに気を配るも侵入者などの気配もない。
「むっ躯ちゃん!踏む!」
が指差す先には………虫。
だがそれも一匹や二匹ではなく、部屋中に発生していた。
だが二人は特になにも感じないらしい。
「…はぁ?」
「お前まさか…」
飛影が呆れたようにそばを這う虫を手にとってに見せる。
「こんなものが怖いのか?」
「仕方ないじゃないの〜!」
躯が何かに気付き声をかけようとしたが、それはに襲いかかった。
ボトッ
「!!…………っ!!!」
声にならないの顔は真っ青。
その肩にはニョロニョロとした虫が乗っていた。
「………やれやれ」
飛影がから虫を払い彼女を肩に担ぐ。
「どうせこの部屋では寝られんだろう」
「おい、どこへ連れていく?」
「お前の部屋に決まっているだろう。俺のところでは蔵馬に殺される」
躯の了解も取らずにスタスタと歩いていく飛影と呆然としているを見送って、躯は部下に尋ねた。
「この部屋だけか?虫の大量発生は」
「百足が停まっているのが森の中ですので虫が入り込んだのでしょう。他の部屋はわかりませんがさま以外に驚く輩もおりますまい」
だって虫が全く嫌いなわけではないが魔界の、それも気持ちの悪い虫に囲まれれば叫びもするだろう。
ここに蔵馬がいればのために尽力しただろうが今は癌陀羅で新政府のための作業に追われている。
の気分転換にと連れ出してはみたが…
「怖い思いをさせてしまったな」
躯は部下に部屋の虫の駆除を任せ自室へと向かう。
「きゃあああッ!!!!」
「!落ち着け!」
……どうやら躯の部屋にも虫がいたらしい。
泣き叫ぶと飛影の呆れ返る声に躯は溜め息をつき、部下に百足の移動を命じた。
〜〜fin〜〜